走り幅跳びの短期間トレーニング【実録】
どうも、カスリートです。
友人にお願いされて小学6年生に走り幅跳びの短期間指導を行いました。
といってもトレーニングメニューを作っただけですが。
トレーニング内容とその結果等を以下に記載していますので、参考になれば幸いです。
※統計処理は行っていません。
【対象】
◯対象:小学6年生(8名)
※全員初心者。
【指導回数・時間】
◯指導回数:5回(雨天のため4回に変更)
◯指導時間:約30分/回
◯指導頻度:1〜2回/週
【指導内容の概要】
・指導回数が少ないため詳細な技術指導やメンタル強化、体力の向上は不可能。
・また、知識や経験が少ない小学生が対象なので、悩まないように考える余地を減らす。
→指導内容を絞る。
まず目標設定の重要性を学習させ、手近な成功体験により指導者と指導内容への信頼感を抱かせる。
次に、踏切足と助走距離を決定することでパフォーマンスの再現性を高める。
また、短期間で習得可能なコツ(目線)を学習させ、助走速度を調整することで記録を向上させる。
最後に大会本番と同じ内容を体験させることで、本番での緊張を減らし、記録の再現性を高める。
【指導内容】
◯1回目(目標設定の学習)
ねらい:目標設定の重要性を学ぶ。成功体験により指導内容への信頼を生む。
①W-Up
・ジョギング(200m)
・屈伸(4回)
・肩回し(前回し8回、後ろ回し8回)
・ジャンプ(全力8回)
・手首足首ブラブラ
・高速足踏み(全力5秒間)
・短距離ダッシュ(5割、7割、9割×20m)
②走り幅跳び(Pre測定)
③立ち幅跳び(Pre測定)
④立ち幅跳び目標値設定(Pre測定×110%)
⑤立ち幅跳び(目標値×Post測定)
⑥走り幅跳び目標値設定(Pre測定×110%)
⑦走り幅跳び(目標値×Post測定)
※W-UPは大会当日を含め統一したものを行う。
※Post測定の結果がPre測定よりも低い場合のフォロー(言い訳)を考える必要あり。
※立ち幅跳びをメニューに入れた理由は目標設定の効果が確認されたのは立ち幅跳びであったため(杉原隆)。参考:https://kc-sks.com/data/pdf/id57da24589aa14_db_p07.pdf
※時間的に厳しかったため③~⑤を省略。
◯2回目(踏切足・スタート足の決定、目線の学習)
ねらい:踏切足を決定し再現性を高める。適切な目線を学習しパフォーマンスを向上させる。
①W-Up
②踏切足・スタート足の決定
・踏切足が決まっている場合はそのまま。
・踏切足が分からない場合はボールを蹴る足の反対側に決定。
・スタート時に前へ出す足は踏切足と同じにする。
③目線の学習
・目線はまっすぐが良いらしい(参考論文は見つけられず)。
・踏切板へ目線を移しがちになるので、それを矯正する。
・指示だけで矯正が困難な場合は踏切板から砂場を挟んだ反対側に高さ約1.5m(平均身長)の目標物を置く。
・目標物を視認しながら走り幅跳びを実施。
※この日の目標は踏切足の慣れと目線の学習なのでファール等は気にせず跳ばせる。
※計測は踏切板からではなく踏切位置から計測する。
◯3回目(助走速度の調整)
ねらい:最適な助走速度を見つけ、パフォーマンスを高める。
①W-Up
②助走速度の調整
・助走速度を8割、9割、10割で跳ばせ、記録を計測。
・一番好成績の速度で跳ぶように指示する。
※前回の学習内容を意識させたまま跳ばせる。
※計測は踏切板からではなく踏切位置から計測する。
◯4回目(助走距離の設定)
ねらい:最適な助走距離を見つける。
①W-Up
②助走距離の設定
・踏切板から15m位置まで歩数を数えさせ、そこから跳ばせる。
・好みの助走距離がある場合はその位置まで歩数を数えさせる。
・踏切が踏切板からずれている場合はその分スタート位置をずらす。
※前回までの学習内容を意識させたまま跳ばせる。
※計測は踏切板から行う。
◯5回目(予行練習)
ねらい:大会本番と同じ内容を体験することで、本番での緊張を減らし、記録の再現性を高める。
①W-Up
②予行練習
※15mライン、目線目標物は撤去。
※時間に問題がなければ本番と同じ試技回数を実施。
※雨天のため実施せず。
【結果】
走り幅跳びの記録(m)は下記の表のとおり。
|
初期値 |
1回目 |
2回目 |
3回目 |
4回目 |
Ave. |
2.91 |
2.98 |
3.09 |
3.15 |
3.11 |
【考察】
・記録の向上への関与度合いは「目線の学習」>「目標設定」>「助走速度の調整」だと考えられる。
・4回目の指導後に記録が低下した原因に計測位置が踏切地点から踏切板に変更したことが影響している可能性がある。
【感想・その他】
・別の指導者が(善意で)出しゃばって、トレーニングメニューと異なる内容のアドバイスを行っていたらしい。これは指導状況のコントロールを難しくしたり、生徒が指導内容について混乱する可能性を生むので、別の指導者は指導現場から完全排除するのが好ましいように思われる。もしくは手伝い要員にする。
・指導者の所感として、指導回数を経るにつれて生徒が指導内容を意識できなくなっているように見えたそうなので、指導内容をもう少し削っても良いかもしれない。削るとしたら「助走速度の調整」。
・恐らく指導内容の順番を変えると、記録の伸び方も変わってくると思われるので、色々試してみて、最も効率の良い指導法を編み出してみるのも面白いかもしれない。
・ちなみにぶっちゃけると、わざわざ指導しなくても、回数を跳ばせるだけで初心者は記録向上すると思われる。